子どもの権利を守る「法定養育費制度」、施行目前も課題の残る認知度

掲載内容はリリース配信当時のものです。内容について変更がある場合がございます。

「2万円=上限」と誤認されるおそれに当事者から不安の声。シングルマザー9割が期待を寄せる新制度、求められる「最低限のセーフティネット」としての正しい周知。

アディーレ法律事務所は、一般社団法人日本シングルマザー支援協会(所在地:神奈川県横浜市、代表理事:江成道子 以下「支援協会」)に調査へご協力をいただき、当事務所の相談者に加え、支援協会会員を対象に「2026年施行の法定養育費制度に関する認知調査」を実施し、合計428名から回答を得ました。

2026年4月に施行される改正民法では、離婚時に合意がなくても最低限の養育費を請求できる「法定養育費制度」が導入されます。本調査の結果、制度への期待度は支援協会の会員で9割超、当事務所の相談者(一般層)でも約8割を超える一方で、内容を正しく理解している層は養育費制度への関心が強いと思われる支援協会会員であっても35%程度にとどまり、さらに、協議や審判等で養育費が決まるまでの暫定額として示されている月額「2万円」が上限であるとの誤解への懸念が浮き彫りになりました。

【調査結果のポイント】

1. シングルマザー層の期待度は95% 、しかし内容は「3人に1人」しか知らない情報格差


新制度について「非常に良い」「どちらかといえば良い」と回答した人は支援協会で95.0%に達し、その高い期待度が伺えます。

日本シングルマザー支援協会の会員の回答


しかし、内容まで知っていると回答した方は養育費制度についての関心が高いと考えられるシングルマザー支援協会の会員のみの結果でも35.9%、一般層ではわずか4%と低く、情報の周知が十分でないと言えそうです。


日本シングルマザー支援協会の会員の回答


一般層(アディーレ法律事務所に内容問わず相談された方)の回答


2. 「月額2万円=上限」という誤解への深刻な懸念

自由記述では、制度への期待の一方で、暫定的に示されている「月額2万円(子1人の場合)」という数字が一人歩きすることへの不安が相次ぎました。

  • 「相手から『2万円払えば法律上問題ない』と主張する口実にされそう」
  • 「本来の適正額(算定表)より低い金額で固定化されるのが怖い」 といった、「制度が支払額を低く抑えるためのツールとして悪用されるリスク」を指摘する声が目立ちました。

3. 話し合いが困難な「沈黙の層」にとっての命綱

養育費の取り決めをしない理由は「相手との関わりを避けたい」「関係悪化」が上位です。新制度は、これまで「相手と接触したくないから」と権利を放棄せざるを得なかった層にとって、話し合いなしで権利が発生する画期的な仕組みです。しかし、それが「適正な額(算定表)」を請求する妨げになってはならないという側面も併せ持っています。

一般社団法人日本シングルマザー支援協会 江成代表コメント

養育費は、こどもの権利です。支払う側には責任をもって支払う義務があり、受け取る側にも、受け取れる仕組みを整える責任があります。しかし現実には、離婚時に十分な話し合いができない夫婦も少なくありません。その結果、両親の間で責任の所在が曖昧になり、こどもが必要な支援を受けられない状況が生まれていることも事実です。養育費は、こどもの未来をつくるための大切な資金です。最低でも月2万円が安定して確保できることは、こどもにとって大きな一歩になります。だからこそ、制度や仕組みに対する正しい理解と、誤解を生まないための丁寧な情報周知が欠かせません。こどもの権利を守るために、社会全体で責任を共有していく必要があると考えています。

アディーレ法律事務所 弁護士・近藤姫美コメント

「法定養育費は、あくまで話し合いができない場合の『最低限のセーフティネット』です。本来は、相手の収入に応じた『適正な額』を請求すべきものであり、2万円が上限ではありません。 今回の調査で、この『最低限』という定義が正しく伝わっていないという問題が可視化されました。制度が『不払いの言い訳』に使われないよう、支払う側・支払われる側、双方の正しい知識の普及が不可欠です。」

【参考図解:法定養育費の正しい捉え方】




【調査概要】

  • 調査名: 法定養育費制度に関する意識調査
  • 調査期間: 2025年11月12日~11月25日
  • 有効回答数: 428件(内、アディーレ法律事務所の相談者297件、シングルマザー支援協会会員 131件)
  • 調査手法:
    アディーレ法律事務所相談者:2025年11月12日~25日の間にアディーレ法律事務所で相談を行った方に対し、相談後アンケートURLを送信し回答を得た
    シングルマザー支援協会会員:会員様向けにアンケートURLを送信し回答を得た

アディーレでは、今後も正しい法律知識・情報を提供し、“「知らないことで損をする」「分からないから何もしない」といった状況から、すべての人を解放すること”を目指し、活動を続けてまいります。

本アンケート調査結果のデータご使用や、より詳しい取材や記事の解説等も承っております。また法定養育費だけでなく、養育費債権の先取特権に関する内容や課題、その他民法改正に含まれる共同親権等につきましても取材・解説を承っております。取材やご質問などをご希望の報道関係者の皆様におかれましては、以下までお気軽にお問合せください。

【本件に関するお問い合わせ・取材のお申し込み】報道関係者からのお問い合わせ先

アディーレ法律事務所
メディア窓口:広報部
Email:kouhou@adire.jp
電話:03-5950-0268
HP:https://www.official.adire.jp/